化粧品は乾燥肌をつくる名人である

乾燥肌の治療法や薬を研究するために、研究者は、重症の乾燥肌をわざとつくって、それに、いろいろな薬をつけて治療効果を調べることがあります。

乾燥肌を簡単、かつ確実につくるのに、よく使われる方法がふたつあります。

ひとつはテープストリッピング法です。

なるべく粘着性の強いセロファンテープを皮膚に貼ってははがし、貼ってははがしをくりかえす方法で、狭い範囲の乾燥肌をつくるときにもちいられます。

保湿とバリアの機能がもっとも高い、皮膚のいちばん外側の角層の細胞をはがしとることで、確実に乾燥肌が完成するのです。

もうひとつは、脂をよくとかすシンナーやトルエンなどで皮膚を数回こすり、細胞間脂質をとかしだす方法です。

広い範囲の、重症な乾燥肌をつくることができます。

いずれの方法でも、一回の操作で乾燥肌ができあがるのです。

スクラブ洗顔や垢擦りといった皮膚をこする行為は、テープストリッピングと同等か、それ以上に角質細胞をこすりおとすことになります。

一回やるだけで乾燥肌になるのは必至です。

クレンジングの多量の界面活性剤は、脂を強力にとかします。

これで皮膚の汚れを拭きとることは、シンナーやトルエンを使って実験的な乾燥肌をつくるのとまったく同じことです。

一回でも乾燥肌になる行為を、毎日続けているのですから、肌はたまったものではありません。

極度の乾燥肌になり、バリアはボロボロの状態ですから、敏感肌になるのは目にみえています。

このことを考えるたびに私は、女性たちに、すぐにクレンジングをやめていただきたいと思います。

毎日、クレンジングで化粧を落とすなどということは、肌の健康を真剣に考えたら、とんでもないことです。

クレンジングは肌に有害なので、そのあとかならずせっけんで洗顔しなければなりません。

クレンジングで細胞間脂質を毎日とかしつづけたら、洗顔後は間違いなく、ひどくつっぱる重症の乾燥肌になります。

したがって、洗顔後は保湿用と称される化粧水やクリーム、美容液などをつけずにはいられなくなるのです。

クリームも水もバリアをこわしますから、ますます乾燥肌はひどくなります。

洗顔後のつっぱり感を感じさせないように、肌が完全に乾くまえにクリームで水分を封じこめましょう、などというまったくばかげたスキンケア方法まで出てきます。

試しに、洗顔後、タオルで拭くときに、水分を少し残してみてください。

皮膚の水分は、完全に拭きとらないと、気持ちが悪いものです。

それが、皮膚を守るためにそなわっている本能です。

水分を残しておくと、皮膚のバリアがこわれるからです。

水分を封じこめるほうがよいなどというスキンケア理論は、皮膚にとっては、乾燥肌をつくるためのケアでしかありません。

バリアがさらに完全にこわれた状態が敏感肌です。

日本女性の4人に3人は乾燥肌で、3人に1人は敏感肌というのも、当たり前です。

乾燥肌や敏感肌の女性が増えれば、保湿をうたったものや、敏感肌用の化粧品などの売り上げも増えるでしょう。

皮膚の健康など少しも考えずに、商品が売れさえすればよいというマッチポンプ商売をしていることをわかっていながらやり続けているのではないかと、勘ぐりたくなります。

化粧品とは無関係な会社が、次々と化粧品を売り出して、それなりの売り上げを上げていると聞いています。

化粧品は何十年も使いつづけるものです。

化粧品会社は、安全性を真剣に考え、長期の使用弊害について確認する体制をつくる必要があると思います。